角膜上皮剥離 (かくまくじょうひはくり)
角膜(かくまく)とは、黒目を覆(おお)っている透明な膜(まく)のことです。
下のイラストを見てください。眼球を真横から描いた図です。中央の水色の半円が、「角膜」です。
角膜は、光学レンズとしての働きを有しています。虹彩(こうさい)と水晶体(すいしょうたい)を保護するという役割もあります。
角膜の表面は、「角膜上皮(かくまくじょうひ)」という皮で覆(おお)われています。交通事故で黒目に何かがぶつかった場合に、この皮が破れてしまうことがあります。
このように、角膜の上皮(じょうひ)が剥(は)がれた状態のことを、角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)と呼びます。
(1)原因
角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)は、バイクの運転中の交通事故によって生じることが多いと言われています。
バイクを運転しているときに、まぶたを閉じる間もなく電柱に激突すると、角膜を傷つけてしまうことがあります。また、装用しているメガネのガラスが破損して、眼にガラスが突き刺さって角膜が傷ついてしまうこともあります。
角膜の上皮(じょうひ)は、外力に対して抵抗が弱いため、わずかな衝撃を受けたでもすぐに傷ついてしまいます。
(2)角膜の構造
角膜は、3つの部位から構成されています。下記のイラストを見てください。表面から、「角膜上皮(かくまくじょうひ)」「角膜実質(かくまくじっしつ)」「角膜内皮(かくまくないひ)」です。
角膜上皮(かくまくじょうひ)は、一番外側の部位であるため、常に外気にさらされています。角膜上皮は、2つの役割を持っています。「角膜を外界から守る」というバリアとしての働きと、「外から酸素を取り入れる」という働きです。
角膜実質(かくまくじっしつ)は、角膜の中心に存在しています。角膜の中では、最も厚い層です。透明であるため、光をそのまま通すことができます。
角膜内皮(かくまくないひ)は、水晶体に最も近い部分です。角膜内皮は、「房水(ぼうすい)」を角膜実質に供給するという役割を果たしています。「房水(ぼうすい)」とは、眼球に栄養を運ぶ水です。
角膜は、非常に繊細な部位であるため、ゴミなどによる小さな刺激によって炎症することがあります。微生物による感染を受けることもあります。
(3)症状
角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)を発症すると、眼球内部に強い痛みを伴います。涙が止まらなくなったり、自由にまぶたを開けることができなくなります。
また、視界が妨げられたり、眩しさ(まぶしさ)を感じて視力が低下することがあります。
(4)治療
角膜上皮(かくまくじょうひ)は、再生力が非常に強いため、完治するまでに時間はかかりません。小さな傷であれば、わずか2〜3時間で治ることもあります。
眼科医を受診した場合は、ビタミンB2の点眼薬が処方されます、この点眼薬は、角膜の再生力を促進させる働きがあります。感染症を予防するために、抗生剤の点眼も行われます。
角膜上皮剥離は、適切な治療を行えば完全に治癒します。後遺障害が生じることは通常はありません。
(5)示談手続きの注意点
角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)を発症しても、後遺障害が生じることは通常はありません。そのため、示談手続きは比較的スムーズに進みます。ただし、一つだけ注意すべきポイントがあります。
それは、角膜上皮剥離は日常生活を原因として発症する可能性があるため、「交通事故によって発症した」という証明が難しいという点です。
角膜上皮剥離は、コンタクトレンズの汚れや、化粧品が眼に混入したことによって発症することがあります。このため、相手方から「交通事故によって発症したものではない」と反論されることがあります。
「交通事故によって発症した」ということを、「因果関係」といいます。因果関係を立証することができなければ、角膜上皮剥離の治療費等を相手方に支払ってもらうことはできません。
因果関係の立証を確実に行うためには、医学的な資料が必要となります。どのような資料が必要となるかは、個々の症状によって異なります。このため、角膜上皮剥離の治療費等を相手方に請求したいとお考えの方は、交通事故に精通した弁護士にご相談することをお勧めいたします。
アジア総合法律事務所では、福岡のみならず、九州、全国からご相談やご依頼を受け、日頃から交通事故の解決に力を入れて取り組んでおり、交通事故のご相談は初回は無料で受け付けております。角膜上皮剥離でお悩みの方は、ご予算を気にすることなくお気軽に当事務所までご連絡ください。
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